ウミガメの産卵場は、どこにあるのでしょうか。アカウミガメは、温帯域に繁殖の中心をもち、 亜熱帯域まで産卵場を広げようとしています。アオウミガメの重要な産卵場は熱帯域で、タイマイも同じく熱帯域ですが生活して いるところはサンゴ礁のある海です。 ヒメウミガメは熱帯域で一部亜熱帯に、またオサガメは主に熱帯域ですが泳ぐ力が強大なので大洋を広く移動します。 ケンプヒメウミガメとフラットバックは,特異な生態を示して、それぞれメキシコ湾とオーストラリアの北部など限られた海域で のみ生活しています。
代表的な産卵場
- アカウミガメ (徳島県美波町大浜海岸)
- アオウミガメ (マレーシア・バックンガンケチル島の海岸)
- タイマイ (インドネシア共和国・ブリトン島の海岸)
- ヒメウミガメ (インドネシア共和国・ブリトン島の海岸)
- オサガメ (マレーシア・アバン村の海岸)
- ケンプヒメウミガメ (メキシコ合衆国・ランチョエボの海岸)
- フラットバック (オーストラリア・クィンズランド州の海岸)
- クロウミガメ (メキシコ合衆国・西海岸)
徳島県の南部海岸に産卵上陸するアカウミガメの大きさの平均値
産卵するアカウミガメの体重と甲長の関係は、指数関数的であることがわかります。 このグラフによって、大きさと重さの関係がわかります。例えば甲長90センチメートルの場合、体重は100キログラムになります。
大浜海岸におけるアカウミガメの月別上陸頭数と子ガメの誕生の時期
大浜海岸に上陸するアカウミガメは、毎年5月中旬頃から産卵上陸が始まり、8月中旬頃まで行われます。
大浜海岸では7月下旬頃からl0月上旬頃まで、子亀が誕生します。
大浜海岸にアカウミガメが産卵上陸する理由
アカウミガメが産卵上陸するための海岸の条件として、次のことが考えられ、大浜海岸はその条件にぴったりです。
- 砂質(粒径)が産卵に適した大きさであること。
- 海岸の沖合に岩礁地帯があり、ウミガメのエサ(魚貝類や海藻)が豊富にあり、ウミガメの交尾や憩いの場となること。
- 海岸に人工的(光や音を出すもの)、あるいは自然的(野犬など)な障害のないこと。
- 日差しが強く、さえぎるものがないこと。
- 砂浜の幅がある程度広く、大波の時でも産卵場所が波に洗われる心配のないこと。
産卵中のウミガメは、苦しみの涙を流している様に見えます。しかし、これは正確には涙ではないのです。
海とかかわりをもって生活しているウミガメ類やカモメなどの海鳥類は、知らないうちに餌といっしょに、海水を少しづつ飲みこんでいるのです。このため、体の中にとりこんだ海水を何らかの方法で体外に排出しておかないと、過剰な海水の成分のためにやがて死んでしまいます。そのため、飲みこんだ海水の塩類をまとめて排出する器官(塩類泉)が必要となりますが、ウミガメの場合は、眼の上に開いているのです。眼から涙のようにあふれでる体液は、濃縮された塩類なのです。これは、海中でも常に出ています。産卵のため上陸してきたときに、私たちには、涙のように見えるのです。
でも、「産まれてくる子どもたちのために流す涙ではないだろうか?」と考える人はとてもやさしい心の持ち主だと思います。